ニューロネットの夜明け – 第5章:企業潜入と対立|前編

一方、セキュリティルームではレオナルドが「幹部フロアに警戒を集中しろ」と指示を出していた。モニタリングの結果、侵入者の目的地が高確率でこのフロアにあると踏んでいるのだ。ガードたちにとっても非常に緊迫した状況であり、間もなく増援が到着するだろう。

会議室に身を隠すエリカは、鼓動の高まりを感じながら、脳内チップを通じてインフォリベレーションの作戦メンバーに状況を送信する。返ってきた返信は「あと数分で遠隔サポートを再開できる」というもの。外部からさらに通信障害を起こしてくれれば、警備員の動きも混乱するかもしれない。

エリカは戸口をほんの少しだけ開き、ガードの足音が遠ざかるのを待つ。何とか進めそうなタイミングを見計らい、レオナルドのオフィスがある廊下に向けて慎重に動き出す。途中、一瞬だけガードの視線がこちらを捉えそうになるが、会議室のドアを開けっ放しのままフェイントをかけて回避に成功。ほんの数秒の差で、後ろを通り過ぎることができた。

そして、ようやくレオナルドのオフィスのドアプレートまでたどり着く。ドアにはセキュリティロックが掛かっているが、エリカはそれを想定内として偽造IDと脳内チップの連携を駆使して解除を試みる。数秒後、ドアが小さな電子音を立てながらロックを解除。エリカは心臓の鼓動が耳に響くほど緊張しつつ、そっとドアを開けようとする。

しかし、その瞬間、遠くから別のガードの声が聞こえてきた。

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