第4話 コードの創造
病院の静かな病室で、ローランは次第に自分の意志を伝えるための新しい方法を模索していた。彼の動けない体とは裏腹に、彼の意識と視覚は完全に機能しており、それを活かす方法を見つけなければならないと強く感じていた。
療法士のマリアがその日のセッションで訪れたとき、ローランは彼女に目の動きだけでコミュニケーションを取るアイデアを伝えた。マリアはそのアイデアに興味を持ち、「それは素晴らしい試みね。さっそくやってみましょう」と応じた。二人はまず、最も基本的な肯定と否定を表すための方法から始めることにした。ローランが目を大きく見開くのは”Yes”、目を細めるのは”No”と定義づけられた。次に、簡単なアルファベットコードを使って、もう少し複雑なメッセージを伝える練習を行った。マリアはアルファベットの表を作り、ローランが見たい文字の方向に目を動かすことで、単語を形成できるように支援した。
その後、看護師のサラが病室を訪れたとき、ローランは新しく習得したコミュニケーション技術を試すチャンスを得た。サラがいつものように健康状態をチェックしているとき、ローランは彼女に目でメッセージを送る試みを始めた。彼は目を大きく見開き、そして細めることを繰り返した。初めサラはローランの行動に戸惑い、「ローラン、どうしたの？ 何か不快なことがあるの？」と尋ねたが、ローランの一貫した行動に何か意味があることを感じ取り始めた。
