第9話 言葉の復活
病院のリハビリルームで、ローランは療法士の指導のもと、集中的なセッションに臨んでいた。数ヶ月の努力とトレーニングが終わりに近づき、彼はついに簡単な単語を発することに成功した。”はい”、”いいえ”、”ありがとう” といった基本的な言葉が、彼の口からはっきりと聞き取れるようになっていた。
「素晴らしい進歩です、ローラン！」と療法士が励ますと、ローランの顔には満足そうな笑みが広がった。この小さな勝利が彼にとってどれほどの意味があるか、周りの人々も理解していた。彼の目からは喜びの涙がこぼれ、療法士も感動で目を潤ませていた。
その日の夕方、ローランの家族が病室を訪れたとき、彼は家族に初めて自分の声で話しかけることができた。「ママ、パパ、愛してるよ」とその言葉が彼の口から静かに流れ出た。家族はその瞬間、抑えきれずに涙を流し、ローランを強く抱きしめた。これまでの彼らの苦労が報われる、感動的な一時だった。