星の涙 – 第4話

桜が声を震わせると、じいさんは頷きながら、大きな桐の箱を取り出した。埃をはらうと、箱の中には小さな星形の護符がひとつ。かすかに刻まれた“T”の文字が、夕陽に鋭く光る。

「これが“星の涙”の欠片じゃ。昔、この村では夜空の星がこぼれ落ちたものとして、大切にしておった」

じいさんはそっと手のひらに載せ、桜へ差し伸べた。桜の瞳が潤み、そっと頷く。

「本当に、これが……?」

「うむ。だがこれだけではまだ不完全。今宵、祭りの夜に集まる欠片と合わせ、星の下で結ぶ儀式がある。そなたさんもぜひ来てくだされ」

陽斗がそっと声をかける。

「どうする? 今夜まで荷物置いて、祭りに参加してみないか?」

桜は欠片を胸に当て、しばらく考えたあと小さく微笑んだ。

「……はい。母も、ここで待っていたのなら」

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