星の涙 – 第4話

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冷たい山道を抜けると、ぽつりぽつりと民家の灯が浮かび上がる深山郷の入口に辿り着いた。夕暮れの空に残る茜色が、背後の杉林を朱に染め、谷川のせせらぎが静かに耳に届く。桜は木造の看板に描かれた「星宿屋」の文字を見上げ、陽斗と顔を見合わせた。

「ここが、深山郷か……」

陽斗が息を吐くと、軒先の風鈴がかすかに鳴る。二人は大きな荷物を抱えながら、戸を開けて中へ入った。

中は木の香りに満ち、囲炉裏には炭火がくすぶっている。奥から小柄な老人が現れ、銀髪を後ろで結い、柔らかな笑みを浮かべた。

「よう来たのう。旅の者じゃな?」

三吉じいさんは杖をつきながら近づき、桜と陽斗を玄関に招き入れた。

「はい。母の手紙に“深やま郷”と書かれていて……」

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