陽斗たちは、王国全土を巻き込む混沌の中、数々の敵の襲撃に晒されながらも、決戦の前哨戦として戦いに挑んでいた。朝の薄明かりがアルディアの大地を照らす中、彼らの前に現れたのは、王国の軍勢、反乱勢力、そして謎に包まれた魔術師集団。まるで各勢力の怒りと欲望が一堂に会したかのように、戦場は一気に血の色に染まり始めた。
戦いの始まりは、急襲のように訪れた。広大な野原に一斉に敵の矢や魔法の閃光が降り注ぎ、民衆を守るために必死に盾を構える兵士たちの姿が見えた。陽斗は、先に進むべき道を仲間たちに指示しながらも、自らも最前線に立ち、敵の波状攻撃に向かって突撃した。
「ロレンス、前衛で民を守れ！ エリナ、支援魔法を絶やすな！」
陽斗の鋭い声が、混沌とした戦場に響いた。ロレンスは重厚な鎧を纏い、剣を振るいながら敵の猛攻を受け止め、エリナは杖を高く掲げ、光の盾と回復魔法で傷ついた兵士たちを守っていた。
その激戦の中、陽斗の心臓は高鳴り、彼は自らの内に眠っていた新たな力が目覚めるのを感じた。これまでの戦いで徐々に確立されてきた領域能力に、今、まったく新しい側面が加わろうとしていた。敵の攻撃が激しさを増す中、陽斗は深い集中の中で、手のひらから重力を操る力「重力領域」を発現させた。周囲の空間が一瞬にして歪み、重力の流れが敵の動きを封じ込めるかのように作用した。
