「アレン、もう少し声を出してみろ! こいつ、こっちを見ている!」
ライナスが必死の形相で指示を送り、アレンは再度大声を上げる。
「敵意はない……僕たちは、君の世界を理解したいだけなんだ……!」
その瞬間、龍が大きく翼を広げた。まるで相槌を打つように低い鳴き声を放ち、機体を包む強風が一瞬だけ和らぐ。アレンもラウルもリタも、この変化に気づかないわけがない。
「これ……もしかして、応えてるんじゃないか?」
リタは観測装置の波形を必死に見つめ、「振動の周波数が変わったように見えるわ。一定の周期で、こっちの呼びかけに合わせてるのかも……」と興奮気味に叫ぶ。
甲板を猛スピードで回り込んできた龍は、今度はアルバトロスから少し距離を取り、悠然と浮遊するように体を揺らしている。アレンはその姿をはっきりと目に焼きつけながら、震える声で言う。
「もしかして、この龍は……僕たちの言葉こそわからないだろうけど、意思を読み取ろうとしてくれてる? 攻撃しないってことは、少なくとも僕らが無闇に手を出す相手じゃないとわかってるんだよ」
ラウルは緊張をほどききれないまま、「説得力のある仮説だな。だが、ここで船から降りるわけにもいかないし、近づきすぎるのもリスクがでかい。どうやって接触すればいい?」と低く返す。
「そ、そうよね。無茶はできないけど……もう少しだけこちらの姿勢を見せられないかな」
リタが思案する。一方、ライナスはロープで体を固定しつつ船首の端に進み、手を大きく振ってジェスチャーをしてみる。もちろん、それが龍に通じるのかは不明だ。



















