大空の船 – 第7章 後編

「天空龍……もしかしたら、あの古代都市の伝承にもあった生物なのかもしれない。あの鳴き声、振動、そして絶対的な力。いつか本当に意思疎通ができたなら、人類とこの空の生き物が共存する道が見えるのかな……」

その言葉にクルーはそれぞれの思いを巡らせる。空賊や古代文明の秘術だけでなく、さらに壮大なスケールの生態系が空に広がっている可能性。それを知ることは、この世界を変える一歩につながるかもしれない。

「でも、そのためには俺たちももっと強くならなきゃな。少しの乱気流だけで倒れそうになっちまったし、船も無事かどうか点検しないと」

ラウルが実務的な口調で言い、リタとライナスがそれぞれ手分けして甲板やエンジンの損傷を確かめ始める。アレンも大きくうなずき、「ああ、そうだ。船体を見直して、古代都市で学んだ新しい制御法も試しつつ、あの龍を追えるような余力を持ちたい」と意欲を燃やす。

こうして天空龍との短い邂逅は幕を下ろしたが、クルーたちの心には強烈な印象と、未知への興奮が残った。空にはまだ多くの謎があり、彼らが求める冒険や世界の真実は、これからも予測不能な形で姿を現すだろう。それでも、仲間たちとの絆とアルバトロスの翼を信じて、アレンたちは次の航路へ進む準備を始める。あの龍の背に乗るような日が来るかどうかはわからない。しかし、その可能性は否定できないと、空を見上げるアレンの瞳が静かに語っているかのようだった。

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第7章:前編|後編

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