大空の船 – 最終章 前編

空賊たちは銃や小型砲をかまえ、警報のベルが鳴り止まない。扉の下部から鋼鉄の盾のようなものが下りてきはじめるが、間に合わない――今が正真正銘の一瞬の隙だ。

「行けえぇ!」

アレンが絶叫すると同時に、アルバトロスの船首がゲートの狭間をすり抜ける。金属がこすれる嫌な音と衝撃が船体に襲いかかるが、なんとか突破に成功。船腹に無数の擦過痕が刻まれているのを感じながらも、甲板上は歓喜と興奮が入り交じった空気に包まれる。

しかし喜ぶ間もなく、要塞内部の広大な格納スペースに飛び込んだアルバトロスに向けて、空賊たちが激しく銃撃を浴びせてきた。上部デッキから無数の弾丸が降り注ぎ、リタやライナスは甲板に伏せる。ラウルは舵を操作しながら、アレンに叫ぶ。

「ここも砲台だらけか! 早く着艦できそうな場所を探せ!」

倉庫のように大きく天井が高いが、そこかしこに空賊の兵士が配置され、攻撃を仕掛けてくる。アルバトロスの上部装甲は決して堅牢とは言い難いので、一刻も早く安全なエリアに移動する必要がある。

「右手の台座が比較的開いてるように見えるわ! あそこなら物陰が多いし、船を着陸させられそう!」

リタがエンジンルームの表示を見ながら、格納スペースの構造を見極めて指示を出す。ラウルは大きく船体を傾けて右舷側へ回り込み、空賊の銃撃を避けながら進路を確保した。

「早くしないと、重砲が待ち構えてるかもしれんぞ!」

ライナスが焦燥混じりに叫ぶや否や、案の定上層デッキの奥で重い砲撃音が響いた。甲板の隅に着弾した衝撃で木片が飛び散り、アレンは火花をかき消すように甲板を叩く。

「よし、着艦する! ぶつかってもいいから強行着陸だ!」

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