大空の船 – 最終章 前編

ラウルが操縦を絞り込み、アルバトロスは右側の狭い台座に船腹を無理やり乗せる形で接地する。船体が嫌なきしみを立てるが、どうにかひっくり返ることなく安定を保った。強制的にエンジンを停止し、クルーたちは荒い息をつきながら急いで武器や工具を手に取る。

「みんな、乗り込んでくる連中を阻止するんだ。アルバトロスを攻め込まれたら終わりだぞ!」

アレンの号令に従い、リタやライナスは手製の銃や刃物を握り、ラウルも軍時代の経験を活かして周囲を警戒する。

「ここからが本番だ。要塞を内部から撹乱して、紅蓮のガイウスを引きずり出すチャンスを作る。船がやられないよう、防衛をしつつも内部を掌握するんだ」

アレンは顔を上げ、要塞の巨大な内部構造を見回した。複数の通路やハッチが四方に広がり、どれが本当に中枢につながるのかはわからない。それでも、この戦いに勝たなければ空は永遠に空賊のものになってしまう。

「行くぞ。もうあとには引けない」

クルーたちは決死の表情でうなずき、台座の周囲に集まり、いざ要塞の深部へ足を踏み出す。上空からは相変わらず弾丸や砲撃が散発的に降り注ぎ、甲板に残る者も危険は避けられない。だが、今こそ紅蓮のガイウスの牙城を突き崩す好機――彼らはそう信じて、敵の砦の奥へと歩を進める。

要塞突入という危険な賭けに身を投じたアレンたち。行く手には空賊の精鋭や強大な武装が待ち受けるだろう。だが、古代都市で得た知識と仲間の絆、そして空を守りたいという強い想いがあれば、この絶望的な状況も乗り越えられるはず。甲板に散る金属の破片を踏みしめながら、クルーは互いを信じ、前に進む。空賊の砦の深部で、何が待っているのか――予断を許さない切迫感の中、物語の運命を左右する激闘がいま始まろうとしていた。

第1章:前編後編 第2章:前編後編 第3章:前編後編
第4章:前編後編 第5章:前編後編 第6章:前編後編
第7章:前編後編 第8章:前編後編 最終章:前編|後編

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