ペットの天国 – 第3話

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第5章: 鳥のピィちゃんの最後の飛行

ミユキのペットショップに、再び不思議な訪問者が現れた。今回は小さな鳥の幽霊、ピィちゃんだ。彼女は生前、店の中で生き生きと飛び回ることが何よりもの喜びだった。しかし、彼女の願いはもう一度、高い空を自由に飛ぶことだった。

ミユキはピィちゃんの透き通った瞳に、その熱い願望を見た。彼女は何とかしてこの小さな鳥の願いを叶えたいと思った。考え抜いた末に、ミユキはドローンを使ってピィちゃんを空に飛ばすことを思いつく。技術には疎いが、近所の電気屋でドローンを購入し、飛ばすための練習を重ねた。

そして、準備が整ったある晴れた日、ミユキはピィちゃんを連れて、近くの公園へと足を運んだ。周囲には興味津々の子供たちや、公園を散歩する人々が集まってきた。みんなが見守る中、ミユキはドローンに小さなプラットフォームを取り付け、ピィちゃんをそこに乗せる。そして、ドローンをゆっくりと操作し、空高く舞い上がらせた。

ピィちゃんは驚きの表情を浮かべながらも、風を切る感覚を楽しんでいるようだった。高く、高く、彼女は空に向かって飛んでいった。青空の中で、彼女の透明な姿が光を反射し、まるで本当に飛んでいるかのようだった。

公園にいた人々は、この奇跡のような光景に拍手を送り、その場は感動で包まれた。子供たちは歓声を上げ、大人たちは目を細めて微笑んだ。ピィちゃんは空の上で輝き、その小さな体全体で自由を満喫しているようだった。

やがてドローンはゆっくりと降下し、ピィちゃんを無事に地上に戻した。ピィちゃんはミユキに感謝の意を示し、そして幸せそうに消えていった。ミユキは、ピィちゃんが最後に見た夢の飛行が、彼女の魂を解放したと感じた。

この日、ミユキはペットとその飼い主たちにとって、どんなに小さな願いも大切にすべきだということを改めて教えられた。ピィちゃんの最後の飛行は、ペットショップ「ミユキの小さな天国」の新たな伝説となり、多くの人々の心に深く刻まれたのだった。

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