雄介の冷淡な言葉に、沙耶はさらに混乱した。両親もまた、彼の変化に言葉を失っていた。
「それなら、試してみるか？」
雄介は挑発的に言い放った。沙耶は一瞬ためらったが、自らの誇りを傷つけられたくないという強い感情が湧き上がり、兄の挑発に応じることにした。
「いいわ、やってみましょう」
沙耶はすぐに音楽魔法の準備を始めた。彼女の奏でる音楽が空気を震わせ、攻撃の力を帯び始めた。その魔法は、彼女の得意技であり、どんな相手も容易に打ち倒してきた。両親は二人の対決を止めようとしたが、二人の間には既に戦意がみなぎっており、止めることは不可能だった。
沙耶の音楽が高まり、雄介に向けて一気に放たれた。その音波は強力で、普通の人間ならば一瞬で気絶するほどの威力を持っていた。しかし、雄介は動じることなく、手をかざしてその音波を受け止めた。
「何？」
沙耶は驚愕した。兄が自分の攻撃をまるで何事もなかったかのように防ぎきったのだ。雄介はそのまま冷静に手を振り、音波を反射させた。その反撃の力に、沙耶は一瞬でバランスを崩し、後ろへと弾き飛ばされた。
「これが…今の俺の力だ」
