最後のメッセージ – 第一幕: 不穏な手紙 後編

第一幕:前編|後編

第3話: 探索の準備

カズキは小さなアパートの一室で必要なものをバックパックに詰め込んでいた。フラッシュライト、地図、ノート、ペン、そして何かあったときのための簡易的な応急セット。これから向かう場所は、かつてアユミが住んでいたアパートの最後の住所だった。彼女からの手紙には具体的な場所の記載はなかったが、この住所が彼女の最後の足取りかもしれないとカズキは考えていた。

荷造りをしながら、彼の頭の中には大学時代の記憶が次々と蘇ってきた。アユミとは大学のデザインコースで知り合い、多くのプロジェクトを一緒にこなしてきた。彼女はいつも創造的で、新しいアイデアに満ち溢れていた。カズキがデザインで行き詰まった時も、アユミは彼を励まし、一緒に問題を解決してくれた。そんな彼女が突如として姿を消すなんて、信じられないことだった。

バックパックを肩にかけ、彼はもう一度手紙を読み返した。「助けてくれ。私は−−−に囚われている。」不安と決意が入り混じる感情が、彼の胸を締め付ける。この謎を解明しなければ、彼とアユミが過ごした日々が色褪せてしまうような気がした。

カズキはアパートを出て、車に乗り込んだ。エンジンをかけ、ナビゲーションをセットする。彼の目的地は都市の郊外、かつてアユミが最後に住んでいたアパートへと設定された。車はゆっくりと街を抜け、次第に人気の少ない場所へと向かっていった。