静かな村、山々に囲まれた場所に佇む、忘れ去られた記憶が広がる。主人公の明は、その村で祖母の庇護の下、穏やかな幼少期を過ごした。しかし、心の奥には常に暗い影が潜んでいた。村には古い言い伝えがあり、特定の時期になると「忘れ去られた者たち」が訪れるという。
明はそんな言い伝えを信じないようにしていたが、ある夜、全てが変わった。村が不気味に静まり返り、どこからともなく異様な気配が漂ってきた。その夜、幼なじみの花が明を呼び寄せた。「明、禁じられた森に行こう!」と。しかし、心の中で何かが警告していた。
「あの森は危険だ…」明は躊躇うが、花の瞳には何か特別な光が宿っていた。彼は恐れを振り払い、彼女と共に森への冒険へと足を踏み出した。霧が立ち込める道を進むにつれ、村の喧騒は遠ざかり、不気味な静寂が二人を包み込む。
森の奥に辿り着くと、朽ちた小屋が見えた。その小屋には奇妙な絵が描かれた古い日記が隠されていた。日記を開くと、村の歴史や儀式の記録がびっしりと埋め尽くされていた。
「これは…村の秘密?」明が呟く。日記は、村人たちが「忘れ去られた者たち」に捧げた生け贄や、彼らの影響で村が受けた恐怖についての詳細を物語っていた。読んでいるうちに、明は自身の中に恐ろしい感情が芽生えてくるのを感じた。
その後、二人は村に戻ったが、何かが変わっていた。村人たちの視線は冷たく、彼らの口には恐怖と疑念が渦巻いている。いつの間にか一人、また一人と人々が失われていくという噂を耳にする。
「明、おかしい。みんな、あなたを恐れている。」花の言葉に、明の胸は不安でいっぱいになった。彼は、村の言い伝えを本気で信じ始めていた自分に気づいた。彼は忘れ去られた者たちの呪いに取り込まれつつあった。彼は、再び禁じられた森に戻る決意を固めた。
夜更け、再び森に潜り込む明。彼の心には、震える恐怖と共に、真実を求める強い意志が宿っていた。古びた小屋の前に立ち、日記を改めてめくる。一晩中、彼はページをめくり続けた。
夜が更けていく中で、彼は「忘れ去られた者たち」が何者であるのか理解し始めた。彼らは、村を見守る存在であり、同時に村人たちを呪う存在でもあった。彼を恐れる村人たちの間に起きているのは、彼の存在が「忘れ去られた者たち」の一部になる過程であった。
彼の意識は、過去の記憶に引き戻された。小さい頃、彼が見た夢の中で、彼は声なき者たちの叫びを耳にしていた。「我々は忘れ去られた者たち…」という声が、自身の心に響いた。明は、自らが運命に抗わなければならない境地にいることを悟った。
「忘れ去られた者たちを解放するために、私は何をしなければならないのか?」その疑問が明の心に駆け巡る。彼は日記の伝えた儀式の意味を理解しようとしていた。彼は自身の運命を引き寄せ、本当の村の歴史を暴き出すことを決意する。
だが、次第に彼の思考は錯綜していく。村人たちが明から逃げ出してしまうのは、彼が進んでいく道が彼を「呪われた者」へと引きずり込もうとするからかもしれなかった。彼は恐れながらも、日記の終わりへと進んでいった。
明の周囲は変わり果てていた。村人たちの表情は失望と恐怖で無残に歪み、彼は一人孤独な道を歩み続ける。彼は思った、彼自身も「忘れ去られた者」の一員になってしまうのではないかと。だが同時に、彼には彼自身の運命を決定する力があるのだとも思っていた。
物語のラスト、彼は日記の記した儀式を実行しようとする。彼は村の広場に立ち、明かりを灯し、儀式を始めた。「忘れ去られた者たちよ、私の声を聞け…」と叫ぶ。
その瞬間、闇が迫り、彼は森からの影に飲み込まれていく。彼は、果たして忘れ去られた者を解放できるのか、それとも自らが忘れられる運命を受け入れるのか。悲しい結末が待ち受けるのかもしれない。
それでも、彼は進む。光を求め、恐れに立ち向かうために。明の運命が決まる瞬間、彼はその道を選ぶのだ。