ローレンスは肩をすくめ、しかし目には熱い光を宿したまま、「科学は常に未知に挑むものです。感覚的な直感もまた、真実への扉を開く鍵となり得る。私の解析によれば、この数値変動は、古代の祝祭や封印儀式に見られる特有のリズムと類似している。もしこれが本当なら、我々は、古代の真実に迫る重要な手がかりを掴んだことになるでしょう」と、力強く述べた。
船内のモニターには、深海の物品から放たれる微妙な輝きとともに、周期的な信号が浮かび上がっていた。技術担当の隊員が、解析ソフトのグラフに指を走らせながら、「こちらのグラフをご覧ください。明らかに、規則的なリズムが繰り返されており、この周期は、古代の伝承で語られる『封印の周期』と驚くほど一致しています」と報告した。彼の言葉に、部屋全体が一瞬、静まり返った。
中村は、資料を見ながら、「もしその周期が事実ならば、この物品は、かつて何らかの強大な力を封じ込めるための装置だった可能性があります。私たちのこれまでの探査では、そこまでの神秘性を持つものは見たことがありません」と憂いを帯びた声で語った。彼女の目は、これからの調査に対する強い覚悟と、同時に懸念も隠し切れていなかった。
斎藤は、書類を整理しながら、深く考え込むように言った。「古代の文明が、この深海で何を求め、どのような儀式を行っていたのか。もしこれが、我々の知る歴史の裏側に隠された真実であるなら、単なる研究対象を超えて、文化や信仰、そして人間の精神にまで影響を与える重大な意味を持つはずだ。」彼は、ふと目を閉じ、かすかな記憶と向き合うような表情を浮かべた。
その時、通信装置から一斉に報告が入り、室内の空気は一層張り詰めた。「斎藤さん、最新のセンサーデータによりますと、物品付近の水温が急激に上昇しており、磁場にも異常値が記録されています。まさに、物理的な影響が現実世界に波及している証拠です」と、若い技術担当の一人が慌ただしく報告した。
