深海の叫び – 第5章:真実への海底降下 後編

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第4章:前編後編 第5章:前編|後編

遺跡の核心と最終決戦

斎藤たち探査隊は、深海の暗闇に包まれた未知なる遺跡の核心部へと、慎重に降下を始めた。艦載ドローンと潜水艇が交互に映し出す映像の中、壁面に刻まれた複雑な象形文字と巨大な石像が、過ぎ去った遥か古代の儀式の痕跡を鮮明に浮かび上がらせる。照明がほのかに輝く中、重苦しい空気を漂わせる船内では、隊員たちの表情にかつてない緊張感と期待、そして恐怖が混じっていた。

斎藤は、モニターに映る遺跡の核心部分を凝視しながら、低い声で命じた。「全員、今からこの遺跡の核心に足を踏み入れる。ここには、古代文明が封印した力、その真実が眠っている。私たちは、その真実を科学的根拠に基づいて解明しなければならない。各自、注意を怠るな。」

中村は、艦内の各センサーのデータを注意深く確認しながら、斎藤に応じた。「了解しました。心拍数や脳波、その他のバイタルサインに特に異常は見られないか、全隊員の状態を綿密にモニタリングしながら行動します。ここからが、我々の最も重要な局面です。」その声には、これまでの経験に基づく冷静さと、隊員たちを導く確固たる覚悟が滲んでいた。

ドクター・ローレンスも、目を輝かせながら、映像に映る巨大な祭壇とその両脇に並ぶ石柱に視線を集中させた。「見てください。この祭壇には、古代の儀式で捧げられた供物の痕跡が、精緻な彫刻で刻まれています。ここに描かれた象形文字は、‘海の主’への祈りと呼応するものです。これらは、単なる装飾ではなく、一種の封印が解かれようとしている証拠に違いありません」と、熱意を込めて語りながら、その神秘性に心を奪われていた。

艦載ドローンの映像が徐々に拡大され、遺跡内部の広間が鮮明に映し出されると、現場はかつての神殿と化し、巨大な石の扉がそびえ立っているのが確認された。その扉には、緻密な幾何学模様と複数の象形文字が刻まれており、まるでその先に封じ込められた禁断の力を守るかのように、静かなる威厳を漂わせていた。