雪の旋律に響く心 – 第2章

「カイトが楽しそうに音楽を作っているのはいいことだ。でも…」洋平は心の中で言い訳をしながらも、視線を二人から逸らせなかった。自分がどれほどカイトを大切に思っているか、それを伝えるべきなのかどうかを考え始めるが、答えは見つからない。嫉妬と不安が入り混じった感情が、洋平の心を支配していった。

その夜、レコーディングが終わり、スタジオを出た二人は冷たい夜風に当たりながら歩いていた。秀次はふと立ち止まり、カイトを見つめた。「カイトさん、僕は本当にあなたの音楽に救われたんです。だから、この映画の主題歌も、全力であなたをサポートしたいと思っています。」

その真剣な言葉に、カイトは一瞬戸惑ったが、秀次の瞳に映る熱意に触れ、自分が彼にとって特別な存在であることを感じた。「ありがとう、秀次。お前と一緒に仕事ができて良かったよ。」カイトは少し照れくさそうに言ったが、その言葉には感謝の気持ちが込められていた。

秀次はその言葉を聞いて、胸の奥で何かが変わるのを感じた。これまでの憧れとは異なる感情が芽生えていることに気付き始めたのだ。しかし、それが何なのか、彼自身もまだはっきりとは理解できていなかった。ただ一つ確かなことは、カイトに対する思いがこれまでとは違う形で膨らんでいるということだった。

その夜、秀次は眠れぬまま、カイトとの時間を反芻していた。自分が何を望んでいるのか、その答えを探し続けるために。

タイトルとURLをコピーしました