雪の旋律に響く心 – 第2章

第4話: 「雪の中のレコーディング」

夜のスタジオは静まり返り、外には雪がしんしんと降り積もっていた。カイトと秀次は、幾つかのテイクを重ねた後、休憩のために手を止めた。窓の外に広がる白銀の景色が、カイトの目に映る。「すごいな、こんなに雪が降るなんて」カイトが呟くと、秀次は微笑みながら窓に近づいた。「本当ですね。東京でこれほどの雪は珍しいかもしれません。」

二人はしばし黙ったまま、雪の音を聞いていた。その静寂の中で、カイトの心に浮かぶのは、音楽を始めた頃の自分だった。あの頃はただ、音楽が好きで、誰かに認めてもらいたい一心で歌い続けていた。それがいつの間にか、売れることや成功することに囚われてしまい、自分が本当にやりたいことが見えなくなっていた。

「なあ、秀次。お前にとって、音楽って何だ?」カイトは不意に尋ねた。秀次は少し考えてから答えた。「僕にとって音楽は…救いです。辛い時も嬉しい時も、音楽がそばにあって、自分を支えてくれる。だから、僕はカイトさんの音楽に惹かれるんです。あなたの歌には、そういう力がある。」

その言葉に、カイトは胸が締め付けられる思いがした。「俺の音楽が、誰かを救える力があるなんて…思ってもみなかった。」彼はそう呟きながら、ギターを手に取った。そして静かに弦を弾き始めた。その音色は、これまでにない深みを帯びていた。

秀次はその音に耳を傾け、カイトの心の中にある何かに触れるような感覚を覚えた。彼の音楽に対する情熱が再び燃え上がろうとしているのを感じ取ったのだ。「カイトさん、その音…すごくいいですね。今の気持ちがそのまま音に現れてる。」

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