雪の旋律に響く心 – 第2章

第1章 第2章

第3話: 「交錯する想い」

レコーディングスタジオの薄暗い空間に、カイトのギターの音色が響き渡っていた。秀次は隣でその音に耳を傾け、真剣な表情でリズムを取っている。二人はこの日、映画の主題歌となる楽曲のアレンジを練り直すためにスタジオに籠っていた。カイトはギターを弾きながら、ふと視線を秀次に向けた。「どうだ、こんな感じで?」と尋ねると、秀次はすぐに頷き、「完璧です。この曲、映画の世界観にぴったりだと思います」と答えた。

カイトは秀次の真剣な態度に感心しつつも、どこか安心感を覚えていた。彼の率直な意見と音楽への情熱は、カイトが久しく感じていなかった創作の楽しさを呼び覚ましていた。「お前、結構音楽のことわかってるんだな」と、カイトが笑いながら言うと、秀次も少し照れたように微笑んだ。「音楽は僕にとっても大切なものですから。特に、カイトさんの音楽は特別です。」

その言葉に、カイトは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに照れ隠しに視線をそらした。「ありがとう。そんな風に言われると、やり甲斐があるよ。」カイトはそう言いながら、再びギターの弦に指を走らせた。

一方、その様子をガラス越しに見つめる洋平の表情は、複雑だった。スタジオの外から二人のやり取りを見守っていた洋平は、カイトと秀次の間に流れる親密な空気に、胸の奥がざわつくのを感じていた。カイトが誰かとここまで打ち解ける姿を見たのは久しぶりだった。しかし、それが自分ではないことに、言い知れぬ嫉妬心が湧き上がってくる。