雪の旋律に響く心 – 最終章

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第9話: 「告白」

ライブが終わり、夜の街は静まり返っていた。カイトは控え室で汗を拭きながら、無事に終わったステージの余韻に浸っていた。その成功に対する喜びと達成感が胸に満ちていたが、心の奥底にはまだ何かが引っかかっていた。

「カイトさん、少し話があるんですが…」控え室のドアが開き、秀次が緊張した面持ちで入ってきた。彼の様子にカイトは少し驚いたが、軽く頷いて席を勧めた。「もちろん、どうした?」

秀次は一度深呼吸をし、決意を固めたようにカイトを真っ直ぐ見つめた。「カイトさん、俺、あなたのことが好きです。ずっと尊敬してきたし、一緒に音楽を作っていくうちに、あなたに対する気持ちが変わっていきました。もう隠すことはできないと思ったんです。」

その告白に、カイトは思わず言葉を失った。彼の瞳が揺れ動くのが見て取れる。自分の音楽を尊敬してくれている人が、まさかそんな気持ちを抱いていたとは予想もしていなかった。「秀次…お前が俺にそんな風に思っていたなんて…」カイトは戸惑いながら、どう言葉を返せばいいのかを考えていた。

その場に居合わせた洋平は、二人のやり取りを静かに見守っていたが、心の中では激しい感情が渦巻いていた。秀次の告白は、洋平にとっても衝撃的な出来事だった。自分自身がカイトに対して抱いている感情を、彼は再び突きつけられたのだ。秀次の言葉が自分の心に深く刺さり、複雑な思いが胸を締め付ける。

「カイト、どうするんだ…?」洋平は心の中で問いかけたが、それは自分自身への問いでもあった。カイトがどう反応するかを見守りながら、自分がこの場に居ることが正しいのかどうかも分からなくなっていた。