聖夜に注ぐレクイエム – 12月20日

「……何の用だ。」

「あなたがホール周辺で目撃された件についてです。そして、10年前の火災事故についてもお聞きしたい。」

篠原はしばらく沈黙していたが、やがて静かに口を開いた。

「10年前のことか……。あの事故で妹を失った俺が、今さら何を話せるっていうんだ。」

「それでも、あなたが怜子さんの失踪に何らかの形で関わっている可能性があります。真実を話してください。」

篠原は拳を握りしめ、感情を抑えるように話を続けた。

「俺がホールに行ったのは事実だ。でも、それは怜子に伝えたいことがあったからだ。俺の妹が死んだ原因……それを怜子が知っていると思ったからだ。」

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