聖夜に注ぐレクイエム – 12月20日

「原因とは?」

「妹は怜子と口論をしていた。それが火災の直前だったと聞いた。俺はずっと彼女を許せなかった。でも、実際に会ってみて、俺の怒りはどうでもよくなった。彼女は……何かを抱えている。妹が死んだことを、あの時からずっと背負い続けているように見えた。」

篠原の話から、怜子が事故後も罪悪感を抱え続けていたことが浮き彫りになった。しかし、彼女が何を伝えたかったのか、まだ核心には辿り着いていない。

その夜、陸は署に戻り、篠原の証言を整理していた。すると、別の刑事から報告が入った。

「大沢さん、怜子さんの関係者から新しい証言が得られました。彼女は失踪の直前に、『この曲で真実を伝えたい』と言っていたそうです。」

陸の中で、すべてが繋がり始める感覚があった。怜子の楽譜「レクイエム」に隠されたメッセージ、それを守ろうとする意図、そして過去の火災事故に関わる真実。それらが複雑に絡み合いながら、事件の全貌を形作っているようだった。

12/15 12/16 12/17 12/18 12/19

タイトルとURLをコピーしました