聖夜に注ぐレクイエム – 12月23日

「曲の中で繰り返されるフレーズを文字に置き換えると、『火と鍵、そして裏切り』という言葉が出てきます。そして、特定の部分ではっきりと名前が浮かび上がる。それが、中村拓也なんです。」

「中村拓也……やはり奴が関わっていたのか。」

陸は拳を握りしめ、これまでの調査が間違いではなかったことを確信した。

その午後、陸は中村拓也の現在の居場所を突き止めるため、署の同僚と協力して情報を収集した。ようやく得られた手がかりによると、中村は市内の廃工場に身を潜めている可能性が高かった。

「大沢さん、廃工場は周囲から見えにくい場所にあります。一人で行くのは危険です。」

若い刑事がそう忠告するも、陸は頷くだけで準備を進めた。

「危険なのは分かっている。だが、これ以上待っていられない。怜子さんの安否を確かめるには時間がないんだ。」

陸は拳銃を確認し、廃工場へ向かう車に乗り込んだ。

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