聖夜に注ぐレクイエム – 12月21日

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封じられた記憶

灰色の雲が低く垂れ込める12月21日、陸は警察署の会議室で新たに発見された証拠品を手にしていた。それは、怜子が使っていた控室の奥から見つかった古びたノート――彼女の日記だった。日記の表紙には細かな傷が刻まれ、時間の経過を感じさせた。

「この日記、鑑識で確認したところ、10年以上前から使われていたもののようです。怜子さんが大切に保管していたのでしょう。」

鑑識担当者の説明を聞きながら、陸は日記を丁寧に開いた。最初の数ページには、彼女の練習記録や演奏会の感想が書かれていた。しかし、ページをめくるうちに、筆跡が乱れ、感情的な記述が目立つようになった。

「200X年12月、私たちの世界は音とともに燃え上がった。」

この一文を見た瞬間、陸の脳裏に10年前の音楽学校火災事故の映像が浮かんだ。続く文章には、事故当時の出来事が詳細に記されていた。

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