目を覚ますと、陸は廃工場の床に倒れていた。頭に鈍い痛みを感じながら起き上がると、中村の姿は消えており、部屋には血の跡が残されていた。
「誰かが先回りしていたのか……。」
陸は襲撃者の痕跡を追おうとしたが、足跡は工場の外で途切れていた。
廃工場を後にしながら、陸は状況を整理した。中村が持っていた情報、そして真犯人が中村を消そうとしている可能性。これ以上の遅れは、怜子の命を危険にさらすことになる。
その夜、陸は署に戻ると、片桐に襲撃の件を報告した。片桐もまた、楽譜のさらなる解読を進めていた。
「楽譜の別の部分を読み取ると、ある場所を示している可能性があります。」
「場所だと?」
「ええ、特定の音符の組み合わせが、街の古い地名に関連しているようです。もしかすると、そこに怜子さんがいるのかもしれません。」
片桐の言葉に、陸は深く頷いた。時間が限られている中で、次なる行動が事件の全貌を明らかにする鍵となるだろう。怜子を救い出すため、そして火災事故の真相を解き明かすために。



















