夜明けのペンダント – 序章: 第1話

早朝の港町・白浜は、箱の発見を報じる見出しで騒然としていた。土産物屋の女主人は客に向かって興奮気味に語る。

「ねえ見た? うちの前の掲示板に貼ってあった新聞、『伝説のペンダント再来か?』って──まさか本当に見つかるなんてね!」

カフェの常連客たちも、カウンター越しに話題を交わしている。

「持ち主に不幸が訪れるなんて、昔からよく言われてた話だろ? 呪いってやつだよ」

「まあ、観光にはいい宣伝になるかもしれないけど……」

港の片隅では、町議会が緊急招集され、高橋を呼び出した。議長は眉を寄せて問い質す。

「高橋君、本当にただ拾っただけなのかね? 何か仕掛けられていたりは……」

航は慎重に言葉を選びながら答えた。

「ええ、箱を見つけて……中を見ただけです。変わった点は、──光を放つ以外、特に異変はありませんでした」

議場にはどよめきが起き、議長は書類をめくりながら呟くように言った。

「光る宝石が凶事を招くというのは、百年以上前からの言い伝えだ。われわれとしては慎重に扱う必要がある」

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