夜明けのペンダント – 第1章: 第2話

沈黙の中、和田の肩から脈打つように震える手が垂れ下がり、床には小さな焼け焦げ跡と円形の焦げ痕がくっきりと残っていた。何者かが意図的に、儀式的に雷を仕掛けた――秋山玲はそう確信した。

その場に駆けつけた私立探偵・秋山玲は、まるで火災現場の消防士のように動き回る。まずは窓の施錠状態を確認し、外側に設置されたブラインドの角度まで詳しく調査した。ちらりと視線を転じると、壁に取り付けられた古いコンセント周辺に小さな焦げ跡があり、何か細い導線のようなものが壁の隙間に隠されているのを見つける。

「これは…人工的な放電装置だな」

玲はペンライトを絞り、焦げ跡の周囲を探る。導線はシャンデリアまで続いているらしく、器具内部に仕込まれた小型コイルが、電撃を発生させた証拠を示していた。

客席の一角では弁護士が低声で囁く。

「まさか、ペンダント関連の誰かが…」

玲は手元のノートに素早くメモを取りながら、高橋航に向き直る。

「高橋さん、今夜はただの晩餐会ではなかった。呪いの伝承を利用した何者かの演出です。ペンダントを狙い、恐怖を煽ることで次の動きを隠すつもりでしょう」

航は額に汗を浮かべながら頷いた。

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