夜明けのペンダント – 第1章: 第2話

「私が拾った宝石が…こんな惨劇を呼ぶなんて思いもしませんでした。どうすればいいんですか?」

玲は一瞬、遠くの窓際に立つ影を視界の隅で捉えた。白いコートの人物が、絹袋の落ちた場所を見つめ、何者かに連絡を取るように携帯電話を覗いている。

「まずは手元の証拠を確保し、犯行に使われた装置の痕跡を押さえる。それから館の関係者全員の動線を洗い直し、招待状の発行履歴と照合する。次の犠牲を防ぐためにも、犯人の狙いを先読みしなければなりません」

航は震える声で答える。

「わかりました。協力します。私が見たこと、聞いたこと、何でもお伝えします」

玲は深く息をつき、静かに目を閉じた。浮かんだのは、妹を失ったあの日の記憶と、無力だった自分への悔恨。そして今、呪いを操る何者かを止めるために、再び覚悟を決める瞬間でもあった。

館内に残された焦げ跡と、不気味に揺れるシャンデリアの光が、秋山玲の鋭い眼差しを映し出していた。周囲のざわめきが遠ざかる中、彼は呟くように言った。

「真実を暴こう」

重苦しい空気の中で、調査の幕が本格的に動き始めた。

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