夜明けのペンダント – 第1章: 第2話

序章:第1話第2話 第1章:第1話|第2話

天井のシャンデリアが激しく揺れ、床の大理石に鋭い金属音が響いた。和田慎一が手に握りしめていた絹袋はスリップし、中から薄紅色の石が転がり落ちた瞬間──窓外から轟く雷鳴が不意に会場を貫いた。客たちは悲鳴を上げ、音楽隊のバイオリンがかすかに宙を震わせる。だが、外は快晴。黒雲の影どころか星すら瞬いている夜空に、不自然な稲光だけが閃いた。

「落雷だと!? こんな天候で、雷が落ちるわけがない!」

田口議長が振り返り、窓外を見据える。だが外には雲一つなく、満天の星が静かに瞬いていた。慌ただしく移動するウェーターの足音、誰かが掴んだグラスが震え、「いったい、何が起こったんだ…」と低いうめき声がこぼれる。

高橋航は絨毯に倒れ伏す和田の元へ駆け寄り、肩を揺すった。

「社長、大丈夫…ですか?」

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