異世界農業革命 – 第4話

 こうして領主派遣の役人たちは、高圧的な態度を崩さないまま村を後にした。一樹たちが胸を撫で下ろしたのも束の間、それから数日後、今度は盗賊団が姿を現す。しかも、これまでの“か弱い村”のイメージではなく、“豊かになり始めている村”という噂を聞きつけての襲撃だったらしい。

 夜半過ぎ、遠くの林から松明の明かりが揺れながら村へ近づいてくるのを見張りに立っていたガイがいち早く発見する。「おい、来たぞ。人数は十人近くいそうだ。手慣れた連中かもしれないな。」

 慌ててエリアスたちに連絡が回る。村人の大半は農業に専念しているため、戦える者はごくわずかだ。ガイと若者数名が簡易な武器を手にし、柵や見張り台から威嚇するように構える。だが盗賊団は後退するどころか、薄笑いを浮かべて村の中へ踏み込もうとしてくる。

「食い物があるんだろう? さっさと差し出せば穏便に済ませてやるぞ!」

 そんな嘲るような声が響き渡り、村人たちは恐怖で震える。エリアスも頬を強張らせ、声を張り上げようとするがうまく声が出ない。そんななか、ガイが前へ出た。

「悪いが、おまえらには一粒たりともやれねえな。俺たちはこの村を守るためにいる。どうしても欲しけりゃ、力づくで来い!」

 ガイが剣を抜いて構えると、盗賊団の何人かが乱暴に突っ込んでくる。見るからに手慣れた動きだが、ガイはその剣さばきで応戦し、二人をあっという間に斬り伏せた。仲間の若者たちもガイを援護しながら奮闘する。魔法こそ使えないが、村を必死に守ろうという強い意志が彼らを突き動かしていた。結局、盗賊たちは想像以上の抵抗に驚き、数名の負傷者を出して逃げ帰っていく。

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