異世界農業革命 – 第4話

「わかった。なるべく穏便に済むように心がけるよ。でも、万が一揉め事になりそうだったら……」

 エリアスが言い淀むと、ガイが険しい表情で頷く。「そのときは俺が引き受ける。どんな手を使ってでも、村を守るのが俺の役目だからな。」

 しばらくすると、領主派遣の役人が村へやってきた。従者らしき者を数名連れ、大仰な衣服をまとった壮年の男が、「ここがエル・リーフ村か」と鼻を鳴らしている。明らかに高慢な態度であたりを見回し、「急に豊かになったのだろう? では相応の税を払ってもらうことになるな」と早速高圧的に宣言した。

「恐れながら、まだ作物は十分に育っておりません。来期以降の収穫を考えれば、今ここで大きな税を納めるのは難しい状況です。何とぞご猶予を……」

 エリアスが頭を下げて説明するも、役人は「言い訳は聞かん。領主さまもお怒りだ。今まで散々税を納めていなかった分、しっかり徴収する必要がある」と取り合わない。さらに、「場合によっては作物や村人を差し出してでも支払わせる」と脅すような口ぶりだ。ガイの眉間にしわが寄り、手元の剣の柄を強く握るのがわかる。一触即発の空気が漂うなか、一樹はエリアスと目で合図を交わす。

「役人さん、もし今の段階で大きな税を取って、この村の再生が止まってしまったら、将来的に領主さまの利益も減るのではないでしょうか。今はまだ試験段階ですが、もし大豊作を実現できれば、その先にはもっと多くの収穫が見込めます。少し時間をいただければ、領主さまにも大きな恩恵があるはずです。」

 一樹の言葉に役人は鼻で笑うが、続けて「具体的にどれほどの収穫が期待できるのか、どんな栽培方法なのか」と問いただす。あくまでも強気な姿勢ではあるが、領主も損得勘定がないわけではないだろう。一樹は今後の農業計画をかいつまんで話すが、役人には専門的すぎて理解しきれない様子だ。「難しいことは領主さまに報告すればいいか……。猶予を与えるかどうかも含めて、帰って判断してもらおう。」

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