その後、傷ついた仲間を介抱しながら、一樹たちは盗賊団の再襲撃に備えるための策を練る。軍事力だけで守りきるのは難しいが、作物が増えれば増えるほど盗賊の標的にもなりやすいというジレンマを感じずにはいられない。エリアスは頭を抱えながら「このままでは持たない」と呟くが、一樹は違う道を提案する。
「無益な争いを続けるのは、あまりに疲弊が大きい。この村の食糧を一方的に奪われるのは論外だけど、何とか盗賊たちを交渉の場に引きずり出す方法はないだろうか。農産物を正当な取引で交換できれば、少なくとも襲撃のリスクは減るかもしれない……」
これにはガイもやや驚きの表情を浮かべる。「盗賊と取引？ 危険な賭けだが、可能性がないわけじゃない。あいつらだって食えなきゃ死ぬ。なら、襲わなくても生きられる道があるなら乗ってくるかもしれねえな。」
領主への対応、そして盗賊団との駆け引き。エル・リーフ村が豊かになり始める一方で、周囲の視線も厳しさを増してきている。新たな困難を前に、一樹たちは知恵を振り絞って村を守らなければならない。果たして彼らは、交渉や農産物の活用を通じて無益な争いを回避できるのか。防衛か、協調か――村の運命を揺るがす試練が、まさに今始まろうとしていた。
