その時、村の広場に現れたのは、鎧をまとい、厳しい表情で剣を携えた騎士の姿であった。彼は、戦場の混乱の中でも的確に敵の動きを見極め、村人たちの安全を確保しようと必死に戦っていた。
「お前、何者だ!」
騎士の鋭い声が、陽斗に向かって放たれた。陽斗は一瞬、動揺したが、すぐに力を取り戻し、剣を持つ彼に向き合った。
「俺は……ただ、村を救おうとしているだけだ。」
その答えに、騎士の顔に一瞬の驚きが走った。だが、やがて険しい表情に戻り、彼は陽斗の背中を見つめながら、低く呟いた。
「この村は、今夜の混乱により多くの命が失われかけている。君の力、見覚えがある。もしかすると、我々の仲間として共に戦う覚悟はあるのか?」
その言葉に、陽斗は自分がただの偶然の存在ではなく、何か大いなる使命を帯びた者として呼ばれていると再確認した。
その時、村の一角から別の人物が駆け寄ってくるのが見えた。長いローブに身を包んだ若い女性が、焦燥の色を浮かべながら駆け込んできた。彼女の手には、古びた杖が握られており、その杖からは淡い光が漏れていた。
「騎士殿! どうか、私たちの村を……」
彼女の声は切羽詰まった訴えを含んでいた。騎士は女性に向き直り、落ち着いた口調で答えた。
「エリナよ、落ち着け。私たちは必ず村を守る。今は、君の冷静な判断が必要だ。」
その時、もう一人の人物が、影のように静かに近づいてきた。中背で旅装束に身を包んだ男性は、周囲の状況をじっと観察しながら、柔らかな口調で語りかけた。
「どうやら、この混乱には、私たちが予期せぬ力を合わせる必要があるようだな。」
その人物は、ミカエルと名乗った。彼は、どこか謎めいた雰囲気を漂わせながらも、落ち着いた態度で状況を見極める目を持っていた。


















