「君たちは、私の知るところによると、ただの旅人ではない。そう、君こそが、我々の仲間として必要とされる者だ。」
騎士ロレンスは、ミカエルの言葉に頷くと、再び陽斗に視線を戻した。
「君の中にある力は、村を救うに十分だ。だが、この先、我々が直面する危機は、今夜のこの戦いだけではない。互いに助け合い、力を合わせる時が来たのだ。」
陽斗は、その言葉を胸に深く刻み、改めて自分の存在意義と向き合った。自身が発現させた領域能力は、ただの偶然の産物ではなく、より大きな運命の一部として導かれているのだと感じた。
「ならば、共に戦おう。」
彼は静かに答えた。その瞳は、先ほどの戦いで見せた決意と、これから始まる長い旅路に挑む覚悟に満ちていた。
エリナは、杖を軽く振りながら穏やかに微笑み、そして騎士ロレンスは、剣を握る手に新たな責任を感じるような表情を浮かべた。ミカエルもまた、旅人としての深い知識と経験を基に、これから共に歩む仲間たちに静かな信頼を寄せるように見えた。
その場にいた全員が、今やただ一人の目的――村の危機を乗り越え、未来への一歩を踏み出すために、互いに心を一つにする必要があると理解していた。村の人々は、陽斗と新たに加わった仲間たちが繰り広げる力強い戦いに、希望と期待を込めた視線を送りながら、必死にその場に留まっていた。
陽斗は、仲間たちの言葉に力を得ながら、再び立ち上がり、村の中心へと歩み寄った。彼の心は、今やただの一人の転生者ではなく、共に戦う仲間と共に、この混沌とした世界で新たな未来を切り拓く決意に満ちていた。
一瞬の静寂の後、騎士ロレンスが厳粛な口調で言った。
「今宵の戦いは我々にとって試練に過ぎぬ。だが、これを乗り越えれば、きっと次の大きな運命が待っているに違いない。」
エリナとミカエルもまた、それぞれの方法で頷き、互いの瞳に決意の光を宿していた。村の危機は、単なる始まりに過ぎず、これから広がる冒険の第一歩として、全員が心に刻む瞬間となった。
