異世界冒険者ギルドの日常 – 第9章:前編

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第9章: 前編|後編

――「次の決算は“世界樹祭”だ」

 王都での表彰式から一ヶ月。

 冒険者ギルドの年度末を締めくくる大イベント〈世界樹祭〉の準備のため、各地のギルド支部長が大陸中央の都市セレシアへ招集された。そこには“数字で魔法を回す男”として、臨時ながら私――ユウトも出席を命じられていた。

 早朝のトリス支部。

 カウンターB番で書類を束ねていると、風切音とともに空色の封書が投函口へ滑り込む。封蝋には世界樹をかたどった金の葉。

ギルド本部告示

世界樹祭財務局臨時監査員として、

受付係 深山ユウト 殿を任命する。

ついては大陸中央都市セレシアへ即日発。

期日:今月末決算締切日まで。

 「また数字で世界を救えってことかな……」

 独りごちたとき、背中から豪快な手が肩を叩く。

 「おう、面白そうな呼び出しじゃねぇか!」

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