転生した俺は異世界領域で無双する ep.12

やがて、連合勢力の先頭に立つ大軍が、戦闘態勢を整えながらも、一縷の希望を胸に前進を続ける姿が目に映った。戦場に向かう道は狭く、まるで全ての運命が一点に集約されるかのような静寂が支配していた。その時、遠くの霧の中から、かつて謎に包まれていた組織の黒幕が、初めて全面に姿を現した。漆黒の鎧に身を包み、冷徹な眼差しを隠さぬその姿は、これまでの陰謀の全てを象徴するかのようで、戦いの重みをさらに増幅させた。

「敵か……」

陽斗は仲間たちと視線を交わし、互いに覚悟を確認するように頷いた。ロレンスが鋭い声で、「我々は、ここまでの苦難を乗り越えてきた。今こそ、決戦に向けた最終準備だ」と宣言すると、エリナも静かに付け加えた。「この瞬間、皆の心がひとつになれば、どんな闇も打ち砕けるはず」

ミカエルは、慎重な口調で、「同盟勢力との連携をさらに強固なものにし、我々の力を最大限に引き出す。ここからは、戦場そのものが我々の決意の証となる」と述べ、兵士たちを鼓舞した。

行軍の途中、一行は短い休息のため、一時の静謐な瞬間を迎えた。薄明かりの中で、陽斗は静かに空を見上げながら、自らの内面と向き合い、これまでの戦いで失ったもの、そして仲間たちと共有した喜びや苦悩を思い返していた。彼の目には、決戦への不安と共に、未来への強い希望が宿っていた。

「俺たちの力が、この闇を打ち破る鍵になる……」

と、心の中で呟くと、再び周囲に緊張が走る。

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