訓練場はギルド裏手の砂地に簡易ロッジが並ぶ広い敷地だ。魔力を帯びた石柱が周囲をぐるりと囲み、結界が形成されている。
悠斗が到着すると、ティリアは矢の束を抱え、的を沈黙のうちに見据えていた。十五メートル先の的に、矢が次々突き刺さる。
ガルドは腕立て伏せ百回目だというのに笑顔を崩さず、尻尾をリズム良く振っている。
リリィは焚き火の火花を利用して、魔導工具の試作を続けていた。
「みんな揃ってるね」
悠斗の声に、三人が視線を向ける。
「受付が何の用? まさか射撃のアドバイスでも?」
「いえ、今日は〈チームワーク診断テスト〉です」
悠斗は書類を取り出した。そこには「三人一組で擬似クエストを完了せよ」という課題と、クリア報酬として「支部内食堂の食券一週間分」と書かれている。
「食堂無料!?」
ガルドの耳がぴょこんと立ち、腹の虫が盛大に鳴いた。
「狙いはそこか……」とティリアが呆れる間に、リリィも目を輝かせる。
「やろう! 共同作業は私の専門外だけど、これも鍛冶の修行だし!」
テスト内容は簡潔だ。結界内に点在する“魔力灯”を、制限時間内にすべて同時点灯させること。
スイッチはそれぞれ物理、魔力、重量の三条件があり、誰か一人が担当しただけでは達成できない。
「ほら、弓使い。あんたは魔力制御が得意なんでしょ?」
ガルドがランタン型の灯具を渡す。
「あなたは重量センサー担当。筋肉馬鹿の力仕事ね」
「よーし、任せろ!」
リリィは指輪型の魔導具を起動し、石柱間に張られたワイヤへ電流を流す。


















