「隣町ベルナー支部の倉庫に同規格が三本あります。取り寄せ申請を同時処理すれば、本日の終業までに到着可能です」
「ほんと!? 手数料は?」
「距離が近いので無料です」
リリィはぱっと笑みを咲かせた。
「すごい! ありがとう、受付さん!」
ドワーフの少女がペンを走らせ、取り寄せ申請書に「急ぎ!」と力強く書き込む様子を見届けてから、悠斗は深呼吸した。
(なんとか切り抜けた……)
その瞬間、クラリス支部長の声が背後から響く。
「ユウトさん、少しお時間いいかしら?」
応接室に案内されると、クラリスは温かい茶を差し出した。淡い香草の匂いが安堵を誘う。
「午前の働き、素晴らしかったわ。あなたのおかげで待ち時間が半減したもの」
「過分なお言葉です」
「そこでお願い。明日以降、ティリアたち三人を新人研修の特別班としてまとめてもらえないかしら」
「私が、ですか?」
「彼らは優秀だけれど、個々が強すぎて連携が取れないの。あなたの調整力でチームワークを育ててほしい」
研修担当――つまり窓口業務に加えて、実地訓練の監督も行うということだ。それは確かに責任重大。
だが、脳裏に浮かんだのは三人の顔だ。
ツンデレ気質ながら妥協を許さないエルフ。豪放なのに繊細な獣人。小柄でも技術に誇りを持つドワーフ。
(彼らとなら、きっと面白い)


















