「閉所罠! 重量板を踏んだ覚えは?」
ガルドが首を振る。リリィは制御盤を操作してみるが、反応なし。
私は《エクスセル》で閉鎖速度と残り空間を計算しつつ叫んだ。
「あと十秒で完全封鎖! ティリア、扉上部の蝶番へ弾丸矢を! ガルド、同時に下部へ斬撃で隙間を確保!」
「了解!」
矢が金属を穿ち、火花が散ると同時に剣が石畳へめり込む。
その隙間へリリィが鍛冶箱から瞬間展開式ジャッキを滑り込ませ、ガチャンと固定。石壁は止まった。
息をつく間もなく、制御盤の赤い脈動が紫へ変わる。嫌な色だ。
「暴走カウントが始まった!」
パネルに浮かぶ数字は三百からカウントダウンを始めている。五分後、ここは溶鉱炉になる。
――ここで今回はタイムアップか。私たちはまだデータを握っただけだ。出口もふさがれた。
私は拳を握り、仲間を振り返る。
「落ち着け。数字が示すのは絶望じゃない。対策を立てるためのヒントだ。必ず脱出方法はある」
ティリアが矢筒を叩き、ガルドが大剣を構え、リリィが工具箱を抱えた。
紫光がホールを染める中、私たちは一歩踏み出す。
制御盤の裏に隠された非常遮断栓、それがこの局面を切り開く唯一の鍵だと、私は計算結果から読み取っていた――。


















