異世界冒険者ギルドの日常 – 第7章:後編

 日が高く昇る頃。

 食堂を兼ねた広場では、織り直された生地が春風に揺れていた。焦げ跡はほとんど目立たず、美しい桜色の光沢を帯びる。

「ミスリルが熱で酸化してピンクに? 面白い副作用だね」

 リリィは感嘆し、ティリアは袖を通してくるくる回った。

「淡い桜色、悪くないわ。王都の宮廷ドレスにも負けないかも」

 ガルドは前開きのベストをばさりと羽織り、「重さを感じねぇ!」と大喜び。

 カミルはポーションを受け取り、包帯を巻いた腕を動かして深くお辞儀した。

「いつか僕も“定食隊”に入れるくらい強くなります!」

 「まずは窓口で日報の書き方を覚えてね」と私は笑い返す。

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