結界ゲートを突破する許可を得るため、私たちは祭壇防衛の司令塔――世界樹祭財務局本部テントへ赴いた。
そこに立ちはだかったのは白装束の青年補佐官ロジェ。
「臨時監査員であっても、祭壇基幹へは立入禁止だ」
「偽通貨波形が再発しています。残高が閾値を超えれば結界自体が会計爆縮を起こす!」
私がグラフを突きつけると、彼は迷いを見せ、それでも首を振った。
「確証が必要だ。帳票一本では上層部を説得できない」
その瞬間、祭壇の黄金炉から紫電が走り、結界に亀裂が入った。空気が唸りを上げ、見物人が悲鳴を上げて後退する。
ロジェは蒼ざめ、ついに通行印章を差し出した。
「監査特権で行け! 私は上層に制止命令を出す!」



















