その直後、祭壇に緊急放送が流れる。
「臨時決算監査完了! 世界樹貨鋳造ライン安全認証! 本祭、予定通り挙行!」
私は膝に手をつき呼吸を整え、仲間へ笑いかける。
「数字で芽を摘むのも、なかなか大変だ」
ティリアは弓を肩にかけ、ほほ笑んだ。
「でも、笑顔の芽は摘めないわ」
世界樹の若枝から柔らかな新緑がのぞき、朝日を浴びる。
決算の締切はまだ先――だが今日も数字は、誰かの未来を芽吹かせていた。
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