星降る夜の奇跡 – 第4話

その頃、サヤのスマートフォンが久しぶりに都会の友人からの連絡を受信する。「忙しかったら悪いけど、ちょっと話せる?」という短いメッセージに、少し胸がざわつくものを感じながら電話をかけ直すと、思いがけない内容を聞くことになる。

「実は、うちの会社で人が足りなくて、サヤを紹介できないかなって思ってるんだ。新しいプロジェクトも動き出して、かなり大規模でやりがいもあるみたいだよ。もし興味があったら、一度話を聞いてみない?」

友人の声は懐かしく、少しだけ都会での生活を思い出してしまう。あの頃は仕事に追われて大変だったが、それでも成果を出すことに達成感を感じる場面もあった。ここ最近の田舎暮らしは、心が穏やかになる瞬間がある一方で、やはり厳しい現実にも直面している。サヤは思わず返事に詰まった。すぐに「行く」とも言えないし、「断る」とも言えない。結局、「ちょっと考えてみるね」と曖昧に返して通話を切る。

サヤはかばんの中にスマートフォンをしまいながら、自問自答を繰り返す。都会へ戻れば、また忙しい日々になるかもしれないが、自分のスキルを活かせるチャンスがあるのも事実だ。かたやこの村にはユウタをはじめ、温かく迎え入れてくれた人たちがいるし、星空の美しさというかけがえのない魅力を知ってしまった。けれど、今回のような自然災害が起これば、復旧作業に追われる毎日がやってくる可能性がある。果たして自分はこの先もずっと村にいて、本当にやっていけるのだろうか。

そんな思いを抱えながらも、サヤは仕事の手伝いに向かい、帰り道にふと空を見上げる。相変わらずどんよりと厚い雲に覆われていて、星の光はひとつも見当たらない。すると、通りかかったミツエが「あんまり星が見えない日が続くわねえ。でも、またあの流星群が来るって噂よ」と話しかけてきた。

「流星群……?」

「あんた、前にも見たんじゃない? 数年に一度の大きなやつだって聞くけど、あの星好きのユウタくんは、そりゃもう待ち遠しくて仕方がないって顔してるわよ」

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