星降る夜の奇跡 – 第4話

ミツエの言葉に、サヤは思わず胸がざわついた。あの夜空を一緒に見上げた日のことが脳裏に浮かぶ。そして、また同じような流星群が近々やってくるという事実。サヤの胸には説明できない複雑な感情が渦巻く。都会に戻るべきか、このまま村に残るべきか。答えを出せないまま、一方ではユウタが心待ちにしている流星群が再び姿を見せようとしている。そのタイミングが、奇妙な運命のようにも思えて仕方がない。

悩みを抱えたまま家に帰り、サヤは静まり返った古民家の居間で暖を取りながら、ずぶ濡れになった靴や服を片付ける。外ではまだ小雨が降ったり止んだりを繰り返している。かつて都会で経験した忙しさとは違う疲れが、全身を覆っているようだ。だが同時に、ほんの少しだけ「流星群が見られるなら、私もまたユウタと一緒に星を見たい」と考えている自分に気づく。星の光が、この混乱した気持ちに何らかの指針を与えてくれるのではないかと、根拠もなく期待してしまうのだ。

村に訪れた自然の厳しさ、思うように進まない復旧、曇り空が続くことで募るユウタの焦燥、そして都会から届いた新しい仕事の話。サヤは二つの選択肢のはざまで、さらに混乱を深めていた。部屋の灯りを落としたあと、外に目を向けるとやはり雲は厚い。それでも、その向こうに星たちがあることをサヤは知っている。果たしてこの曇天が晴れ、ユウタが待ち望む流星群が再びその光を放つとき、自分はどんな決断を下しているのだろう――そんな問いが、胸の奥で静かにくすぶり続けていた。

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