ニューロネットの夜明け – 第4章:地下組織との接触|後編

サイモンは手で制し、エリカに向き直る。

「これが現状さ。強硬派はすぐにでも破壊行動に出たい。穏健派は、まずはメディアやSNSを使って世論を味方につけ、合法的な形で追及しようとしている。君の望むのはどちらだ?」

エリカは視線を下に落としながら、自分の思いを整理する。

「私も、研究所や企業の暴走を止めたい気持ちは同じ。でも、いきなり破壊や襲撃をするのは被験者や無関係の人まで巻き込んでしまいそうで……。真実を暴露し、世間を動かす方法を模索したい。そうしないと結局、根本的な解決にはならないと思うの」

その言葉を聞き、強硬派の男は鼻を鳴らすが、サイモンは笑みを浮かべる。

「なるほどね。じゃあ、まずは情報を集めて暴露に活用する。そのための共同作戦というわけだ。俺たちは君のスキルを買ってる。ミアの協力も含めて、しっかりと取り込んでおきたい」

エリカは口を真一文字に結び、意を決したように言った。

「ただし、条件がある。私たちを勝手に危険な行動に巻き込まないこと。強硬策に出るにしても、それは私が認めた時に限るわ。情報共有はするけど、一方的に利用されるつもりはない」

サイモンは少し考え込む素振りを見せたあと、肩をすくめて笑った。

「なるほど。君は随分自分の命を大事にしてるみたいだ。まぁ当然か。わかった、条件付きで協力しよう」

そう言って差し出されたサイモンの手を、エリカは一瞬迷ってから握る。周囲のメンバーの視線が冷ややかなものや期待混じりのものなど、色とりどりに降り注ぐのを感じたが、今のエリカにはそれどころではなかった。共同作戦に足を踏み入れた以上、後戻りは難しくなる。

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