やがて、会議がひと段落ついたところで、サイモンが軽く手を振った。
「今日はこれくらいにしておこう。エリカ、君も疲れただろう。アジトは自由に見学していってくれて構わない。ただし、無断で設備に触るのは勘弁してくれよ」
「あいにく、こっちもそこまで暇じゃないの。ミアに状況を説明しないと」
そう言ってエリカは、さりげなくその場を離れる。インフォリベレーション内部の緊張を肌で感じて、長居する気にはならなかった。
アジトを出たエリカは、夜の闇が降り始めた路地を抜け、人気の少ない裏道へと歩を進める。そこに停めてあったバイクにまたがり、ヘルメットを深くかぶった。エンジンの振動が手に伝わると、わずかに心が落ち着く。さまざまな考えが頭を巡っていたが、とりあえずミアの元へ戻るのが先決だ。
しばらく走って廃倉庫へ着いた頃、ミアは端末を触りながら待ちかねていたようだった。ヘッドライトが照らす彼女の姿に、エリカは微かな安堵を覚える。
「どうだったの? インフォリベレーションってどんな連中?」
ミアの問いに、エリカはヘルメットを外し、髪をかき上げる。
「色々な人がいる。ラディカルなのも、穏健派も。でも、私たちの力を欲しがってるのは間違いないみたい。条件付きで協力することにした」
エリカはざっと会議の内容をミアに伝える。ヴァル・セキュリティ潜入作戦とレオナルドへの接触が具体的なミッションになること。そして、同時に政府研究所への動きも進行していること。ミアは聞き終えて唇をかむ。



















