ニューロネットの夜明け – 第4章:地下組織との接触|後編

「私が今持っている情報は、政府とヴァル・セキュリティが連携して進めている意識共有の研究と、“プロジェクト・シナプス”の一部データ。それをさらに深く突き止めるには、企業や研究所の中枢システムにアクセスしなきゃならない」

「そこだ。君とミアの技術力が必要なんだ」

サイモンはそう言いながら、テーブルの中央に小型のプロジェクターを置き、起動させる。暗いスペースにホログラムが展開され、ヴァル・セキュリティ本社の構造図と、政府研究所を示すと思しき地図が浮かび上がった。

「俺たちインフォリベレーションは、すでにいくつかの偽造IDや内部協力者の手配を進めている。だが、どちらに潜入するとしても、最終的には高度なハッキングが必要になる」

映し出された図には、セキュリティゲートや監視カメラ、そして研究エリアの高圧電磁バリアなどがマーキングされていた。エリカは目を凝らしてその配置を見つめる。確かに、単なる物理的潜入だけでは突破できない仕組みがいくつも見受けられる。

「ヴァル・セキュリティに乗り込むなら、私がチップ認証の無効化や監視カメラの制御を遠隔で行う。研究所を狙うなら、さらに厳重な生体認証をかいくぐる必要がある。いずれにしても、バックアップがなければ二度と戻れないリスクがある」

エリカは深く息をついた。情報を共有するのはいいが、ここまで綿密に準備しているということは、インフォリベレーションが本格的に大きな作戦を実行する段階に入っている証拠だろう。

すると、サイモンの近くにいた一人の男が声を上げた。髪を短く刈り上げた精悍な印象の男で、強硬派を代表するような雰囲気を放っている。

「こいつらの技術は頼りになるのか? 俺たちはいつまでも準備だけしてるわけにはいかない。さっさとサーバーを叩き潰して、相手の主要データを消すのが一番だろう」

「データを消すだけじゃ意味がない。真相を世に広めなきゃ、また同じことを繰り返す」

別のメンバー、今度は穏やかな口調の女性が割って入り、場に一瞬緊張が走る。

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