ニューロネットの夜明け – 第7章:研究所への突入|前編

「そういうわけで、まず私が外部システムに攻撃を仕掛けて、センサーの誤作動を狙うわ。防衛プログラムの一部を一時停止させることで、ドローンの軌道を数十秒ほどずらすくらいはできるはず。あとはそこを素早く通り抜けるしかない」

エリカは眉をひそめ、図面を見ながら口を開く。

「それでも成功率は高くないわね。セキュリティがバレれば、一気に警戒レベルが上がる。その先、内部の警備に気づかれたらおしまい。ところで……さっき届いたメッセージって、ほんとにレオナルドからのものなの?」

エリカが問いかけると、サイモンは頷きながら一枚の紙を取り出す。それはプリントアウトされたテキストデータの断片で、匿名サーバーを経由して送られてきたものだった。そこには「メインフレームは地下区画にあり。セキュリティ手順は○○…」など、具体的な情報が端的に記されている。

「メッセージが本物か確証はないけど、内容は研究所の内情に詳しすぎる。レオナルド本人か、その近しい人間である可能性は高い」

エリカは紙を見つめ、かつての仲間の顔を思い浮かべる。ヴァル・セキュリティの幹部になった彼が、ついに企業と政府の立場を捨て、この計画を止めるために動き出したのだろうか。

「レオナルドが本気で協力してくれるなら、私たちにとっては大きな助けになるわ。メインフレームの場所が事前にわかれば、時間を無駄にせず進める」

サイモンはテーブルに大きな紙の地図を広げ、赤ペンで地下区画らしき部分を丸で囲む。

「ここだ。メッセージによると、施設のメインフレームはこの地下エリアにある。意識共有のコアサーバーとも言われているが、警備も相当に厳重だろう」

エリカが地図を覗き込みながら、少し考え込む。

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