ニューロネットの夜明け – 第7章:研究所への突入|前編

「研究所のメイン入口からここまでの経路をどうやって進むか……。正面突破はまず不可能。通路を塞ぐガードや自動防衛システムが待ち構えてるはず。緊急用の連絡通路、あるいは廃棄物処理経路を探す手があるかもしれないけど、どれもセンサーまみれね」

ミアが端末に視線を落としつつ指を動かし、複雑なコードを走らせている。

「私が一時的にセキュリティを混乱させれば、少なくともドアやゲートのロックを数十秒止められる可能性はある。ただ、その間に足を踏み入れたら最後、一度でもセンサーに引っかかれば警戒態勢がフルパワーで作動する。成功すれば早いけど、失敗したら……」

言葉の先は誰もが想像している。戻る時間すら与えられないだろう。

サイモンは腕を組み、厳しい顔でエリカやミアを見渡す。

「確かにリスクは大きい。それでも俺たちはやるしかない。ビアンカの計画が成功すれば、強制的な意識統合が現実になる。そうなれば、これまで以上に巨大な権力が誕生し、個人の意志なんて消えてしまうかもしれない」

一瞬、室内が静まり返る。エリカは脳内チップを軽く操作し、レオナルドからのメッセージデータを再確認する。そこにはセキュリティシステムの脆弱ポイントや、研究所のシフト交替時間など、具体的なヒントがまとめられていた。

「レオナルドがここまで情報をくれるなら、きっと本気で止めたいんだと思う。彼は自分の立場を捨てる覚悟があるんだろうね」

ミアはわずかに笑みをこぼす。

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