ニューロネットの夜明け – 第7章:研究所への突入|前編

エリカとサイモンが素早く走り出し、フェンスに接近。暗視ゴーグルを装着したメンバーが切れ目を探って金属のワイヤーを外す。普段なら警報が作動するはずだが、ミアのプログラムがわずかな間だけセンサーをオフにしてくれた。

「もう数秒は持つけど、それ以上は厳しい」

ミアが小声で警告すると、エリカはその言葉を聞いてフェンスをくぐり抜ける。空気が突き刺さるように冷たく、心臓の鼓動が耳を打つ。背後でサイモンも続き、四人ほどのメンバーが後方警戒を行いながら慎重に敷地内へ入り込む。

建物までの数十メートルが勝負だ。監視ドローンは再びコースを戻り始めているらしく、頭上にかすかなモーター音が近づく。警備ロボットの人影も遠くに見えた。

「ミア、ロボット制御を混乱させられる?」

エリカが走りながら問うと、ミアは端末を睨みつける。

「試してみるけど、正直、アクセスが難しいかも。数秒だけ動きを鈍らせることはできるはず」

通りかかった警備ロボットが奇妙に旋回し、立ち止まる様子がカメラ越しに確認できる。今が最大のチャンスだと悟ったエリカとサイモンは建物の側面に取り付くように身を寄せ、非常口のドアを目指す。ミアはそこで待機し、扉の電子錠を遠隔から解除しようと試みる。

「解除コードを入れて……よし、開いた!」

ドアがわずかに開いた瞬間、エリカとサイモンは室内へ飛び込む。ミアもすぐに続き、ドアを静かに閉めてロックを再セットする。外では警備ロボットがようやく誤作動から回復したようだが、幸い三人の姿は見つかっていない。

タイトルとURLをコピーしました